東洋医学で言う本治法と標治法

本治(ほんじ)と標治(ひょうじ)とは

耳慣れない言葉で小難しいようにも感じますが、標治は標(しるべ)として現れている症状に対しておこなう治療です例えば肩コリで不快な症状が発生していたとしたら、肩にめがけて治療を施し症状を緩和させていく、訴えている具体的な箇所に対する治療です。

本治では症状が現れてしまう心身の弱り、元気の消耗にたいして根本的な回復をめがける治療で、御自身の自然回復力を増すように働きかける治療と思っていただけるとよろしいかと思います。

人体は自転車のように各々のパーツを構成して作られた機械ではなく、科学的にも未だ解明されておらず、新たに発見される細胞間でのネットワークなども存在しています。これらの細胞の元は一つの細胞から分裂して現在の一つの身体として成り立っていますので、症状が起きている身体のすべては繋がっていると考えます。

患者さんの訴えである痛みを取り除くことはもちろん大事ですが、背景にある【生命力の消耗】を回復できずに違う症状が現れたり、病にかかりやすくなってしまうとするとどうでしょうか。

それは治療としては不十分ではないかと思います。

ところが回復力が働いて訴えている不快な症状が自然と消え、いつもより身体が動かしやすい、五感が冴える感じが得られるとしたらどうでしょう。

症状がなく体調が落ち着いている方でも、隠れている身体の歪みは【冷え】や【硬さ】として現れていて、触診をして初めて御自身もこの硬さに気づくことがあります。

不思議と硬さはその方によってクセのような場所に現れやすい部位があるように思います。

それぞれ形の違う『川』の例えをよく使います。

巡りよく澄んだ川の状態へ整えてみましょう川は大きさも流れもそれぞれ異なりますよね?表面上は似たような川でも深さが違ったりもします。そこで問題になるのが川に発生する滞りです。流れが悪い部分に自然とゴミや汚れが集まってきますよね?

この巡りの悪さが歪み、滞りが悪く溜まってくる汚れが硬さとして身体に現われています。溜まりに溜まって、川のあちこちにまで巡りの悪さが波及してしまい抱えきれなくなったときに病として発症してしまう。その前に溜まっているものを取り除いて巡りを良くしておきたいです。

そこで溜まっている場所をめがけて治療をしていくのが『標治法:局所治療』、川の巡りを改善して流れの勢いを増して溜まっている汚れも流してしまおうというのが『本治法:全身調整』となります。

痛みを取り去ることはもちろん大事なことだと思います。しかし健康な状態で今後の未来を過ごせることはもっと大事なことだと考えるので、当院ではお身体に現われる症状には鍼灸を用いた全身調整(本治法)を行っています。

巡りを整えて滞りの少ない澄んだ状態で日常を過ごせますように、東洋医学、鍼灸治療は身近に受けられる治療ですよ。

些細なことでもご相談くださいね。