全身調整治療の手順

問診:触診

現在の身体の状態、過去の病歴や生活歴を問診としてお聞きしていきます。

これは幼少期の怪我や学生時代の運動経験、生活習慣などからも症状への影響が大きく関係していることも考えられるからです。

どのような動きで症状が現れてしまうのか、確認しながら首、肩、腕、脚の身体前面の硬さ(コリ)が出てしまっている場所を調べます。

このコリは治療を進めていくうえで消えていくことが自覚でき、治療効果の表れを測る目安ともなります。

陰陽虚実という東洋医学的な考え方を用いて現在の状態を考察していきます。

手足の触診

腹部の治療

接触鍼という鍼を使う手技でお腹に心地良い皮膚刺激を用いていきます。

お腹は身体の中心部分で、近年では内臓と脳の相関関係も深いと示唆されています。

この皮膚の刺激は脳へと伝わり全身が緩み始めコリがなくなっていき、心身を回復するスイッチが入ることになります。

中心、つまり真ん中から身体本来の状態へと緩んでいき、不調の絡まりが解けて触診の時に感じられたコリが消えて身体を動かしやすくなることが実感できます。

お腹の鍼治療

脈診、脈を調整する

東洋医学では脈の速さ虚実(強弱)に心身の不調を照らし合わせていきます。

身体に栄養を送るのは血液ですね。

その血液を全身に巡らせているのは血管、血脈です。

手首のツボには脈を調節できるツボがあり、全身を緩めるために脈を調節していくことで更に絡まりが解け本来の状態があらわになってきます。

お腹の接触鍼に加えて身体のコリがどんどん緩んでくることが感じられると思います。

脈診

腹診:証をたてる

お腹を木火土金水という五行の領域に分けて、背中に用いるツボを定めていきます。

身体の中心にあたる領域ということから『全身の状態を反映しているツボ』という考え方で、前述の治療を行うことでハッキリとツボが現れ、より正確に現在の状態を把握できるようになります。

「おへそ」周囲にツボが集まってくることが理想ですが、胃のあたりや下腹部などにツボが現れていることが多く診られます。

お腹の触診

背中の触診

首、肩、背中、腰、脚という身体後面の硬さ(コリ)の状態を探り、身体の状態を把握していきます。

このコリは治療を進めていくうえで消失していき治療効果を計る目安にもなります。

眼の疲れ、呼吸がしにくい、足からの血流の悪さ、深部の冷えなどの反応が背中側にも現れていますので、よく探ることに意識を集中します。

背中の触診

背中の治療

背中にはとても重要な最も大きな神経として脊髄神経が存在し、両脇には交感神経幹という自律神経が存在しています。

東洋医学的にも身体の真ん中に向けてとても身体への作用が大きいという考えもあります。

腹部の証に準じて兪穴(ゆけつ)という身体への影響が大きいツボに刺激を加えていきます。

この刺激は脳神経に伝達され、心身が癒されるスイッチが入るとともに不快なコリがなくなり体が回復する状態に入ります。

つまり症状が出ている場所を回復するために、身体の中枢機能を使う刺激を与えていきます。

背中の治療

補助治療

鍼治療で全体が整うと冷えが強く現れているところや、熱を帯びている場所がハッキリと現れます。

必要に応じてお灸の熱を使用したり、鍼刺激で整えていきます。

心地良い温かさのお灸

最後に座った状態で左右を整えていきます。

座位での治療

治療後は身体の内側から温まり、呼吸がしやすく動かしやすい状態を感じていただけると思います。

全身調整治療の良いところ

心身の状態は万人同一、皆同じではありません。同じ方でも気分と同じで日によって状態は変わっていきます。

その時の状態によって身体が受けられる刺激の量、そして使用した方が良いツボというのは変わります。

お腹と脈を診ることで、その時に最適な刺激の量とツボというのを判断できるオーダーメイドのような治療法です。

つまり症状に惑わされずに根本から心身を回復する機能を使うことを目的として痛みに耐えることのない心地良い治療です。

これは痛みが出ているところに強い刺激を用いて症状を紛らわせるようなことはしない治療法となります。

こちらのページでは痛い場所に刺激をせずに回復する治療法のご紹介でした。

なぜマッサージや電気治療などを用いず鍼灸治療専門なのか?と疑問を持たれる方も多くいらっしゃるかと思います。どうぞコチラをご覧ください。

なぜ鍼灸治療専門なのか?クリックしてご覧ください

不快な症状に悩むことなく心地良く日常を過ごせますように。

心身とも健やかに

疑問に思うことは遠慮なくご相談くださいね。