本来の体調を見つめ直す

本来の体調を認識することが大事

ツラい痛みや疲労は感じないほうがいいじゃないか。

たしかに。そのとうりです。しかし本来感じるべき疲れや痛みを感じていない状態で日常を生活を続けることは大変怖いことなのです。

なぜなら走ることには問題ないけども、故障をしかかっている車に乗り続けるとしたら…いかがでしょうか。

私は故障が発生してトラブルになる前に、整備をして快適に運転を続けていきたいと思う性格です。

実は恵まれた現代社会の生活の中、栄養補助剤や健康食品の影響で人間の体でも同じようなことが起きてしまっていることがあります。

【疲労感の軽減】と【疲労の回復】は同じではない

近年の疲労研究によって疲労のメカニズムが解明されつつあります。どういうことかと言うと疲労レベルという尺度を図ることが、東京慈恵会医科大学ウィルス学講座の研究チームによって現実的になりました。

研究結果

ほぼ100%成人の体内に潜伏しているヘルペスウィルスに着目し、唾液内のウィルス量を調べるという特許技術です。

ヘルペスウィルスは宿主(本人)に強い疲労やストレスがかかった場合に再活性化して水疱を作り体外へ逃げ出そうとする性質があります。

これは難破船のネズミに例えられます。船に危険を感じると潜んでいたネズミが沈んでいく船よりも安全な船外へ逃げ出そうとする習性に因んでいます。

これを利用して唾液内のウィルス量で疲労度を判断するという方法です。

痛みや疲労は脳からの危険信号

脳は疲労感というサインでアナタに『休みましょう。』とメッセージを送ってくれます。

風邪をひいて発熱をした際や、身体に痛みを感じた時などに内臓器の働きが低下したりするのもサインの一つです。

呼吸が浅くなったり、食欲がなくなったり、便通が悪くなったりするのも広義の意味では回復をしたいという合図かもしれません。

つまり身体からの生体アラームです。

危険信号

痛みや疲労感が感じなくなる

栄養ドリンクやサプリを摂取すると疲労感が感じなくなることが研究結果で明らかになりつつあります。

栄養ドリンク

これは疲労の回復ではなく疲労感の軽減ということです。要するに身体の回復に作用するのではなく、先ほどの生体アラームを感じさせなくなってしまうことですね。

痛みを紛らわすので無理に気づかずに動き続けてしまうのです。

最近では栄養補助剤のラベルや見出しに「疲労の回復」ではなく「疲労感の軽減」という言葉に変わっていることが見られます。

これは冒頭にあった車の例えと繋がってきませんか?

「疲れや痛みを感じない。」ということは決していいことばかりではありません。

御自身の疲れに正直に気づけて、耳を傾けることは健康的に過ごすためにとても大事なことなのですね。

鍼灸治療で本来の体調に気づく

「そんなに不調がないのに治療は必要ないな…」と考えることはありませんか?

鍼灸や漢方などの東洋医学は予防医学として秀でております。これは先ほどの生体アラームをリセットすることができる方法だからではないかと考えます。

当院で治療を受けていただいた方は治療の際に「自分の身体でこんなところが痛かったの?」と驚いたことがありますよね。

日常のストレスや多忙など健康食品の影響から疲れのセンサーをきってしまうことがあり、症状が出て初めて身体の状態に気づくことが多くあります。

これは意識と体調が離れてしまうような状態です。

「昨日まで全然元気だったのに急に症状が…」という例もこの影響が大きいかもしれません。

治療を受けていただくと意識と体調のリンクが重なります。「こんなに動かしやすくなるなんて!」とラクな状態に気づけていただけるはずです。が重くなったり眠くなったりするかもしれませんが、身体からの「休みたい」というサインに気づけるはずです。

心地良く日常生活が過ごせますように、ツラい症状が現れる前に整える予防医学としても鍼灸治療を上手に用いてみてくださいね。