呼吸と鍼灸を使って心身のバリアを整える
皆さん、呼吸が浅くなっていませんか?
呼吸は心臓の拍動や血圧、消化器などと同じ自律神経調節で無意識に身体がコントロールしてくれている機能でもあります。
つまりボーッとしていても止まることのない人間の性質でもあります。
しかし自分でも意識的に調節できる領域でもあり、無意識と意識の合間にある唯一の自律神経機能とも言われています。
自分自身で最初に行うべきコントロール方法
呼吸は薬を用いずに心理状態を整えるために効果的な方法として科学的にも立証されており、メンタルを意識的にコントロールするのであれば呼吸をコントロールすることが有効という研究結果もあります。なので心身を整えるために呼吸を上手に使わない手はありませんね。
つまり一言で言うと呼吸に意識を向ける。ということです。
呼吸のメカニズムを上手に使う
基本的には
- 息を吸う際には興奮作用
- 吐く際には安静作用
という効果があります。
危機的な緊急事態などでは興奮状態となり息をこまめに吸うことが必要となり、呼吸が浅くなっていきます。これは脳の防衛反応が関係しており、深呼吸しながら興奮することができないという脳の仕組みです。
つまり呼吸が浅くなっている→興奮状態ということにつながります。
アスリートや集中して作業に向かう方々が本番前に緊張して過呼吸になる背景には、過度の緊張状態から息をたくさん吸っていることで招かれてしまいますね。
このことからため息というのもリラックスをしたい時に行われる防衛本能とも考えることができます。
リラックスしたい時や回復をしたいときは吸っている時間よりも吐いている時間を長く。まずは吐くことから始めてくださいね。
呼吸を調整することで得られる3つの効果
日常生活内での呼吸は何秒ほどでおこなっているのでしょうか。そのまま一度計測してみてください。
一般的には5〜6秒とどうしても短くなりがちです。そこで10秒くらいかけてご自身で呼吸を調整してみましょう。
呼吸を整えて得られる効果として
- ストレスの低下
- 血圧の安定
- 睡眠の質の向上
これらが科学的に立証されています。
ほんの3〜5分でも時間が空いた時にできる、身体の機能を使ったセルフケアコントロールです。
無意識に興奮していないか…深く呼吸をして身体に耳を傾けてみてくださいね。
休憩などでリラックスしたい時は息を吐く時間を長めに、朝の起きがけなどで活動的に動きたい時は息を吸う時間を長めにと調節してみてください。
どちらの状態が望ましいのかわからない…という方は吸う時間と吐く時間を等間隔で深く呼吸を繰り返すことも効果的でしょう。
呼吸法と鍼灸治療の相乗効果
東洋医学では氣の巡りを身体中に送る力の一つとして呼吸が重要と言われています。
当院で全身調整治療を受けられた方々は治療後に呼吸が深くできることを御実感されると思いますが、これは無意識のうちに息が詰まり呼吸が浅くなっていた事となります。
特に今の時期ですとマスクの負担などで無意識のうちに呼吸筋の負荷が強くかかっていることも考えられます。
呼吸筋群といって呼吸する筋肉は胸だけではなく、実はお腹や腰、首や肩にまで広がっており、さまざまな心身の影響からこれらの筋肉たちは凝り固まって動きにくくなっていることが多くみられます。
身体の細胞に栄養を供給しているのは血液です。その血液によって酸素も運ばれて細胞が活性化して私たちの生命は成り立っています。
もしその酸素が運ばれる量が少なくなっているとしたらどうでしょうか。
細胞の活性化が上手にできず疲れやすく冷えやすい身体へとなってしまいます。つまり本来の調子が発揮されにくくなってしまうのです。
鍼灸治療と呼吸法の相性が良い理由の一つとして、治療によって身体が回復するスイッチが入ることで内側から筋肉が緩んでくると、自然と胸が拡がり呼吸がしやすい状態へと整っていきます。
そこで治療後は自律神経調節が安定して毛細血管も広がり身体の隅々にまで血液が巡ることで、手足も温まってくることが御実感できると思います。
気血の巡りが向上すると衛氣(えいき)と言う身体を衛る(守る)力が発揮されることで、身体のバリア機能が発揮される(自衛隊の衛の字)、つまり外敵から守るバリアが張られるという考えです。
このバリアは身体のバリアだけにとどまらず、メンタルのバリアにも成り立ちます。体調が良いほうが安定してあらゆるストレス耐性が発揮されますからね。
詳しい呼吸法などを知りたい方は遠慮なくお尋ねください。
呼吸法と鍼灸治療を上手に使い、まずは一息をついてくださいね。
鍼灸を受けて呼吸がしやすくなると息が深く吐けるようになります。吐く息からも水分が吐き出されているので、発汗や排尿と同じく不要な水分を吐き出すことは解毒作用にもつながります。すると自然と新鮮な空気が肺に入り、新鮮な水分を口にすることで身体がリセットされていきますよ。
マスクの着用を強いられる生活が続きますが、上手に呼吸を使って心地良く日常を過ごしていきましょう。